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【小説】リゾナントブルーのМVからストーリーを想像するスレ 第112話 [無断転載禁止]©2ch.net

1 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/07(木) 21:49:50.75 0
「さよならなんて、言いませんよ」

強く、強く、優樹は云う。
頑固で、強情で、わがままで、だけど、鋭く射貫く瞳は、美しい。

「うちも、言わないよ。だって―――」

空が続く限り、いつだって、道は交わることができるんだから。
道を重ねたその先に、確かな未来を築きに行くよ。

第111話 『 旅立ちの挨拶 』より

前回のお話はこちら↓
【小説】リゾナントブルーのМVからストーリーを想像するスレ 第111話 [無断転載禁止]©2ch.net
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192 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:49:30.37 0


太陽は、東の空から昇りそして、西の空へと沈んでゆく。
朝の眩しい光、人々を眠りから覚ます力強い光。だがそれはやがて血を流したかのように赤く染まり、太陽とともに地
の底へと消えてゆく。
その後に訪れるのは、闇。一筋の光さえ射さない、暗黒の世界。

193 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:50:23.29 0


194 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:50:54.63 0


5人の少女たちによって創設された能力者組織「アサ・ヤン」。
その類稀なる戦闘能力、そして突如として少女の1人に覚醒した未来予知の力は組織を大きくしてゆく。
数年後。新たに3人の能力者を加え「M。」と改称した組織は、トップである中澤裕子のカリスマ性によって志を共に
する複数の小団体をまとめ上げる。

「HELLO」。
国からの絶大な信頼を得るとともに、警察機構や自衛隊すら凌ぐ強大な武力を保持したその組織は、そう呼ばれていた。
能力を持たない普通の人間には処理することのできない、特殊な事案。今まで権力者が個人的に契約しているフリーの
能力者が片づけていたような仕事は、程なくして「HELLO」に回され始めた。

「えーと、11時からは東南アジア系のマフィアのアジトの殲滅。13時に例の連続爆破事件の犯人の追跡。17時に「M。」
のミーティング…もう休む暇もないべ!!」

とあるオフィスビルの1フロア。「HELLO」はそのさらに一室を間借りしているのだが。
小柄な少女の叫びに、思わず行き交う人間が注目する。

「しょうがないよなっち。これも仕事だからね」

対する隣を歩く少女はあくまでも冷静だ。
だが、叫んだ少女はそれが気に入らない。

195 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:51:24.07 0
「福ちゃんはいいべさ。今日は入ってる仕事はないっしょ。でもなっちは」
「役割が違うからね。忙しいのはなっちの圧倒的な戦闘力を買われて、でしょ?」
「で、でも!カオリだって予言の仕事だなんだって言って部屋にこもりっきりだし」
「それも役割の一つ。なっちはもう『M。』の看板なんだから、割り切らないと」

組織の看板、と言われてしまえばそれ以上彼女は何も言うことはできない。
事実、彼女 ― 安倍なつみ ― の言霊を操る力はここ数年で目覚ましく成長し、組織を代表する能力者と言われるま
でになっていた。

「そうだよね…なっちたち、能力者にとっての理想社会を作るために、頑張ってるんだよね」
「さ、そうと決まったらこんなところで愚痴ってないで。今何時だと思う?」
「っと、10時半…え!!」

最初の仕事の時間まで余裕がないことに気づき、慌てふためくなつみ。

「ごめん急がなきゃ!福ちゃんありがとね!!」

小走りで駆け出す小さな背中を見送りながら。
明日香自身、自らの紡ぎだした言葉に自問する。

能力者の理想となる社会を作るために、自分達はここまでやってきた。
では、そもそも「能力者にとっての理想社会」とは?
裕子、彩、圭織、なつみ、そして明日香。運命に導かれ出会った五人だが、最初はそんな大層なお題目など持ち合わせて
はいなかった。ただ。異能を持つが故に虐げられ、苦しめられてきた過去を持つ者同士が、これ以上自分達と同じような
存在を増やしたくないと願った先の出来事に過ぎない。

196 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:51:50.90 0
だが、現実はどうだ。
自分達が持つ能力を政府筋の人間に評価された結果、目の回るような忙しさが襲い掛かってきた。組織は加速度的に大き
くなり、このまま順調に進めば能力者の理想社会を創造することももしかしたら可能なのかもしれない。が。

結局はどこまで目標に邁進した所で、「HELLO」はお偉い方たちにとって都合のいい道具でしかない。飼い犬はどこ
まで走ったとしても飼い犬でしかないのだ。
また、良くない噂も聞く。最近では新設された生物科学の部門が何やら怪しげな実験を繰り返しているという。さらに、
一部の能力者たちが正規の仕事ではない仕事、つまり裏社会の非合法な仕事に手を染めているという話すらある。

本当に自分達は、能力者の理想とする社会に辿り着く事ができるのか。

明日香の思考は自らの心の黄昏へと消えてゆく。
それでも、色濃く残された色彩は決して消えてはくれない。

197 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:52:18.31 0


「明日香、浮かない顔してるよ」
「キャハハ、人生に疲れたって顔してるぞ?」

「HELLO・東京本部」と書かれた素っ気ないドアを開けると、二人の少女が出迎える。
明日香より少し大きい方が、市井紗耶香。そして明日香よりさらに小さい方が、矢口真里。ともに、明日香たち5人に新
しく合流した能力者たちだった。はじめは能力の覚束なさからか、自信なさげな表情をすることも多かったが。年が近い
こともあり、今では打ち解けた話し方をするようになっている。

「…いろいろ、気苦労が多くてね」

もちろん、自分たちが所属している組織の在り方に疑問を呈している、などとは言えない。
すっかり「HELLO」の主力となり、欠かせない戦力と言ってもいいくらいの二人。
しかし、自らの心をすべて預けるような間柄でもないことは確かだった。それに。

「っと。そう言えば急ぎの仕事があったんだった。おいらたち、もう行くわ」
「だね。遅れないようにしないと」

そんなことを言いながら、そそくさと事務所を出て行く真里と紗耶香。
足早に遠ざかってゆく背中を、明日香は苦い表情で見送っていた。

198 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:52:50.27 0
最近、二人の様子がおかしい。
心を読まれないように、自らの心にロックをかけている。これについては明日香が相手の心を読む能力に長けているせい、
というのもあるのかもしれない。ただ、疑念はそれだけではない。

単独行動、とでも言えばいいのか。
明らかに不審な活動が目立っていた。例えば、事務所のホワイトボードに書かれた、彼女たちの行先。これと言って問題
があるようなクライアントではないが、二人が口にしていた「急ぎの仕事」というのは少々引っかかる。というのも、件
のクライアントが急ぎの仕事を依頼するようなシチュエーションが明日香には想定できないからだ。

偽装…か?

一瞬、疑いがよぎるが、即座にそれを否定する。
真里も紗耶香も、ともに戦線を潜り抜けた仲間だ。特に、多くの負傷者を出した「サマーナイトタウン」での戦闘は記憶
に新しい。

一部の能力者たちが裏社会の非合法な仕事に手を染めている。
重ねたくないのに、どうしても黒い疑念は二人から離れてくれない。
どうすればいい。組織のトップである裕子にはこんなことは話せない。
なつみや圭織にも話せない。特に圭織は未来視の能力がまだ不安定だ。疑念レベルの話が大きくなっては困る。
なら真里・紗耶香と同期の保田圭ならどうか。彼女の冷静さならばあるいは。
駄目だ。この問題に直面するには圭は真面目すぎる。

明日香はこのことを相談するのに一番適した人物を知っていた。
彼女以外に、ありえない。とまで考えていた。

199 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:53:15.94 0


「そりゃ、張ってみたらいいんじゃない?」

都内のとあるバー。
美味しそうに琥珀色の液体を口にしてその女性は言った。
ウエーブが程よくかかった長い髪が、大人の女性の雰囲気を強調する。

「でも、そんなことをしたら」
「明日香は考えすぎ。あいつらにそこまでの根性ないから。今だって、あたしが一喝したら涙目になって震え上がっちゃ
うのにさ。一回尾行して、んで安心したらいいのさ」
「彩っぺ…」

目の前の女性 ― 石黒彩 ― は事もなげにそう言い切った。
それでも表情の晴れない明日香の背中を、ばちーんという音とともに強い衝撃が襲う。

「ご、ごほっ!痛った、彩っぺ何すんの!!」
「お、久しぶりに見た。年相応の子供らしい表情」
「からかわないでよ。うちらみたいな能力者が、年相応なんて無理なんだから」
「なっちとか圭織とかなまら子供っぽいべ?」
「あの二人は特別。特になっちなんて私がいないと…」
「はぁ、明日香ねえさんも大変ね。どう、一杯飲(や)る?」
「裕ちゃんじゃないんだから、未成年に酒を勧めない」

じと目で突っ込まれ、嬉しそうに笑う彩。
能力者「アサ・ヤン」を立ち上げた五人の能力者の一人。年少者である明日香やなつみ、圭織と年長者の裕子の間を取り
持つ中間管理職。さらに、三人の新人を徹底的に鍛え上げた鬼軍曹。
裕子が組織の長としての職務に追われる中、彩は明日香が頼るべき最後の寄る辺とも言えた。

200 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:53:40.37 0
「うちらが最初に『アサ・ヤン』を立ち上げてから、ずいぶん組織も大きくなったよね」
「そうだね。今じゃすっかり大所帯。最近じゃ妙な外人とかいるらしいし」
「…ねえ、彩っぺ」

明日香が、意を決して切り出す。

「何さ、改まって」
「裕ちゃんの言う、能力者が安心して暮らせる理想的な社会って。どんな社会なんだろう」
「……」

彩は、すぐには答えない。
残り少なくなったウィスキーの入ったグラス、浮いた氷をくるくると回している。
沈黙、そして流れる時間。けれど、悪くはなかった。
やがて、流れた時に導かれたように彩が口を開く。

「うちらが、能力者であるってことを感じさせない。裕ちゃんが目指してるのは、そんな社会なんじゃないかな」
「能力者であることを感じさせない…」

うまく想像できなかった。
明日香の能力である、精神操作。能力者相手ならともかく、耐性のない一般人の心はいとも容易く流れ込んでしまう。そ
んな状況で、自分が能力者であることを意識させないようなことなど、可能なのだろうか。

「よく、わかんないよ」
「まーた考えこんでるな。裕ちゃんならきっと『そんなんどうにでもなるわぁ!』って言うよ。そうだ、最近裕ちゃんと
飲んでないなぁ…ま、忙しいししょうがないか」

201 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:54:12.17 0
確かに、そう言われそうな気がした。
道のりは見えないけれども、彩も、そして裕子も。向いている方向は同じような気がした。
そして、自分もその方向に顔を向ければ、なんとなくうまくいくのかもしれない。
その時の彩の言葉には、そう思わされる力があった。

「ありがとう、彩っぺ。ごめん、変なことに付きあわせて」
「いいっていいって。その代り、あんたがお酒飲めるような年になったら、裕ちゃんより先にあたしを誘うこと」
「確約はできないけれど、努力するよ」

立ち上がり、勘定を済ませようとする明日香。
これには慌てて彩が制止する。

「…可愛げがないねえ。年下の子に金出させるようなこと、させないでよ」
「でも」
「今日はお姉さんの無料レッスンだと思って、甘えときなさいって」

はじめは不服そうな顔をしていた明日香も、やがて諦めたのかそのまま手を振り別れを告げた。

202 :名無し募集中。。。@転載は禁止:2016/01/19(火) 23:54:36.75 0
明日香には敢えて言わなかったが。
彩に、思い当たる節がないわけではなかった。
ただし、それは真里や紗耶香のことではない。他でもない、「HELLO」のトップ。

裕子が、ここ最近目に見えて忙しくなったのは事実だ。
しかし。何か、違和感を覚える。彼女はもしかして、何かをしようとしているのではないか。
自分たちに何も言うことなく、やろうとしていることとはいったい。

考え過ぎ、なのかもしれない。
それこそ明日香に言った言葉がそのまま自分に跳ね返っている。
例え裕子が何かをしようとしているとしても。それが自分たちに害をなすとも思えない。
彩はそう結論付け、だからこそ明日香には何も言わなかった。が。

彩の思惑とは裏腹に、「闇夜」はすぐ側まで迫っていた。

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