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【小説】リゾナントブルーのМVからストーリーを想像するスレ 第118話 [無断転載禁止]©2ch.net
- 1 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/03/31(木) 01:29:49.45 0
- え〜詐術師さん、まさ、人と合わせるの嫌いなの
作者さんの続きを書く能力を阻害するって言ってたけど、まさ、そんなの気にしないの
「そんなのインチキだ!」
第117話『 まー修行 』より
前回のお話はこちら↓
【小説】リゾナントブルーのМVからストーリーを想像するスレ 第117話
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- 234 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/04/12(火) 02:24:08.14 0
- 家を出て二十分、雨はまだ続いている。
「あれが依頼のあった現場です」
目の前にあるのは一棟の社屋。
右に同じような洒落た外装をした建物が隣接している。
飯窪は傘を差し、鮎川は傘を差し、外套を着たまま歩く。
鮎川の足元で水たまりが弾けた。
社屋ビルの前を通り、隣の邸宅前に到着。
低い三段の階段を上がって、扉の前に立つ。
「依頼主からは許可を取ってありますから、扉は開いてますよ」
無断侵入の説明をしつつ、飯窪は扉を開ける。
曇天でさらに陽光が射し込まなくなった薄暗い廊下が見えた。
戸口を覗き込もうとする鮎川のために横に退く。
「まず現場を見てもらったほうが良いですね」
飯窪と鮎川が廊下を歩いていく。
途中の階段を通り過ぎて、突き当りを左に曲がる。
奥に開け放しの扉と、警察が張った立ち入り禁止の帯が見えた。
黄色い帯を手で払い、奥の部屋に入る。
「勝手に入っていいの?」
「入室の許可は出てます。事故として処理されてますから」
「事故?」
「死亡したのはリルカ・オーケン。映像や書物、ようするに物語関係の
輸出入と制作を行ってる方で、この貿易映像社の副社長でした。
今朝、彼女は自宅の書斎で死体となって見つかりました」
「外国の人?」
「ハーフだそうですね」
- 235 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/04/12(火) 02:25:26.38 0
- 部屋にある家具は、書類棚と重厚な執務机。
貿易社の商品である書籍やDVDは山と積まれている。
苛烈な仕事が私生活にまで浸食してきたのが見てとれた。
絨毯を控えめに染める血痕が、不運な事故を静かに物語る。
「そこがリルカさんの死体があった場所ね。
殺人の可能性はないの?」
鮎川の目は血痕が落ちた絨毯を見下ろす。
血痕の周囲には陶器の破片が落ちていた。
「朝にご家族が発見し、通報して警察が調査しました。
現場と物証の状態から見ても、リルカさんは深夜まで
自宅で仕事をしていて、立ち上がった時に過労かなにかの
原因で足下がふらついた。
そして寄りかかった棚の上にあった花瓶が落ちて、頭に落下」
飯窪は一歩歩み寄り、陶器の破片を指で示す。
「痛みで後方に倒れた時、机に後頭部を打ってしまった。
当たった角度が悪かったみたいで、午後一時から二時の間に
死亡したと考えられます」
入手した警察の簡単な検死情報を思い返す。
「そう見えて、実は誰かが仕掛けた殺人事件、という展開は?」
「物語ならともかく、一般人は手のこんだ殺人はしません。
ないとは言い切れませんが」
「殺人じゃなく単に事故死だとしたら、救われないわね…。
まだこんなに若いのに副社長になっても、机に頭を打って
死ぬなんて悲しすぎる」
鮎川の面差しに哀しみが宿った。
- 236 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/04/12(火) 02:27:18.82 0
- 「副社長という座も大変だったようですね。
この映像会社を社員二百人規模の会社に育てあげ、三男一女を
会社の各部門を任せるほどに育て上げた訳ですから」
「夫はどうしていたの?」
「ルリカさんが発見される前夜にすでに行方知れずになってます。
元々気弱な方であまり経営に向いてなかったそうです」
「驚くほど夫が怪しいじゃない」
「元々あまり家に寄りつかなかったみたいで、事故死という結果もあって
警察の動きも鈍い。娘さんだけが心配して、旦那様の身柄を
捕捉してほしいと依頼してきたんです。それも警察よりも先に」
鮎川を眺める。
「私の目的は、その旦那様を見つけ出すことにあります」
「見つけて、それで?」
「それだけですよ」
「それ、だけ?」
「それだけです。この事件には鮎川さんが恐怖している事は
ほとんど影響していないお話ですから」
「余計な仕事はしない、ってこと?」
「……私達が正義の味方をしているのは、誰かの人生を
めちゃくちゃにした相手に復讐するためではありませんから」
まだ納得していない鮎川に飯窪は携帯端末を差し出した。
そこにはこの貿易社の経営主の経歴と、顔や全体の写真があった。
鮎川の鼻先に不快感の皺が浮かぶ。
机に座って控えめに微笑む社長、ロック・オーケン。
痩せた体に白の混じった髪は三対七という半端な横分け。
何かを睨み付けるような鋭利な目。
貧相な顔にペイントで十字架を模した模様が描かれている。
まるでピエロか何かの様だ。
- 237 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/04/12(火) 02:28:26.45 0
- 「……いかにもって感じね。
怪しいDVDでも売ってたんじゃないかってぐらいの面構え」
「見た目で判断するのは良く無いですよ。
それなりにいいところもあったと思いますよ」
小声で「多分」と付け加えてしまった飯窪の弁護にも
鮎川は侮蔑の小さな笑みを口の端に刻む。
「ロックさんの私室は二階です」
二人で部屋を出て、廊下まで戻る。
階段を上って二階に到着すると、廊下の横手にある扉を開けた。
左右の壁一面と床に、雑誌と本とDVDが溢れている。
左手の棚の中段ほどに、画面と録画再生機がそれぞれ六台。
何の為かは分からないが、六つの画面を一度に見る事態が想像できない。
窓際の机の上では、数年前に上映された映画がテレビで放映されていた。
「なんで勝手にテレビが?」
「自動再生でしょうか」
映像のひとつには、飯窪も見た事がある映画があった。
丁度、変身ヒーローが悪の計画を阻止している最中で
ヌンチャクを振り回す特撮ヒロインというのも斬新ではある。
「まるで子供の部屋じゃない…」
鮎川の言葉通り、貿易社の社長の部屋に仕事の用具は何もない。
時間を知らせる時計すらなかった。
この部屋は、ただ子供のままで大きくなった男のための
夢物語と玩具で埋め尽くされ、戯れるためだけの部屋だった。
楽器や電子器具の山。
音楽楽器の雑誌が混ざっているのを見るに、彼は音楽にも精通してたらしい。
- 238 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/04/12(火) 02:29:51.75 0
- ロック・オーケンの理想を投影したような本は床に転がっていた。
表紙では、勇敢な戦士が右手に剣を握り、美女を
左腕で抱きつつ、白い歯を見せて笑っていた。
二人でさらに部屋を捜索したが、ロックの行方を示すようなものは出ない。
携帯端末を見つけて電話帳や住所録を見つけたが、空白ばかり。
何件かはあったが馴染みの楽器店のものがほとんどで
個人的な友好関係がほとんどない。
数少ない交友関係にその場で電話してみるが、誰も彼の事を知らない。
鮎川の不機嫌さが頂点にまで達する前に、二人は外に出る事にした。
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