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【小説】リゾナントブルーのМVからストーリーを想像するスレ 第134話 [無断転載禁止]©2ch.net

1 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 21:49:38.37 0
「未来を紡ぐっつったのは誰よ!」

さゆみはれいなの体を強引に抱え、男に背を向けて走り出す。
無謀だとは分かっていた。だが、此処で自分まで諦めてしまうわけにはいかない。
約束したのだ。たとえ、もう二人しか居なくても、仲間がいる限り、あの頃の9人が護りたかった世界を護ると。

第133話『the new WIND―――』 より

前回のお話はこちら
【小説】リゾナントブルーのМVからストーリーを想像するスレ 第133話
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37 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:39:54.23 0
男の一人が吼えたかと思うと、持っていたナイフで斬りかかってくる。

一般人を巻き込む訳にはいかない。と咄嗟に判断した。
“時間編輯(タイムエディティング)”を何度か試み、強引に突破していく。
殺せない、というのは思った以上に厄介だ。
リゾナンターの規定に、「一般人は殺さない」と堂々と書いているわけではない。
だが、リーダーである聖は、口には出さないが背中でそれを嫌がる。

一般人を手に掛けたとしても、よほどのことがない限りバレることはないはずだが、
それを許せなくなったのは、自分が此処にきて、随分と「仲間」と同じ時間を過ごした証なのだろうか。

男たちが振りかざすナイフや鉄パイプを避けながら、ひたすらに逃げる。
まったく、そんな物騒なものを持ってはいけませんよ。と口にしたくなる。
身体には徐々に傷が増えていく。

“時間編輯(タイムエディティング)”は、長時間使えない。
僅か5秒という時を超える能力は、多用しすぎると身体に大きな負荷がかかる。
同じリゾナンターの仲間も、能力を多用すると、技の跳ね返りや体力の消耗をする場面は多くあるが、さくらのそれは、メンバーの比ではない。
やはり、「時を超える」という、神への冒涜ともいえる能力は、奨励されるものではないのだろうかと思う。

38 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:40:14.17 0
精神を操作された男たちは、間髪入れずに襲いかかってくる。
思考がない人間とは、厄介だ。体力の衰えも気にせずに向かってくる。
きっと、その身体の方に限界が訪れたとしても、奴らは立ち上がるだろう。
死すらも恐れぬ行軍だ。彼らの四肢が散切れるまで待っている暇はない。
それでも、一人で相手にするには限界がある。

一気に能力を解放し、振り切るしかないのかもしれない。
現実問題として、この人数から逃れるのは難しそうだ。
元々さくらは瞬足でもない。チカラを最大限に解放したところで、逃げ切れる保証はなかった。
男たちの攻撃を避けながら必死に戦略を立てていると、遠くから黒い塊が投げ込まれるのを見た。
その瞬間、さくらは迷わず能力を発動させようとする。が、次々と投げ込まれるそれに、無意味だと悟る。

「っ―――!」

閃光弾と催涙弾が炸裂した。
強過ぎる光が一帯を包み込み、さくらは一時的とはいえ、自らの世界を失った。
同時に催涙弾が肺へと入り込んでくる。呼吸を最低限に抑えようとするが、煙は容赦なくさくらの身体を浸食する。
咳が何度も重なり、息を吐く度に再び催涙を吸引し、呼吸が叶わなくなる。
光を失った瞳からはボロボロと涙をこぼし、花粉症と見紛うほどに鼻水を垂れ流して膝を折る姿は無様だった。
光と煙が引き、その中心に男たちが集まってくる気配がする。まるで死体に群がる蠅のようだ。
一人の女の子にここまでするかぁ?と笑いたくなる。

39 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:40:35.52 0
ああ、もう、どうしよう。
視覚と嗅覚を失い、聴覚だけを頼りにこの場を逃れるしかないようだ。
風が抜ける方に走るしかない。体力がもつ確証はないし、大怪我を負うことになるだろうが、死ぬわけにはいかない。


―――死なないで。


いつだったか、さくらのボスであるあの人は、そう言った。
怒りでもなく、哀しみでもなく、きっと、さくらの知る限り、最も冷たい瞳で、そう言ったんだ。


―――聖が命令する。絶対に、聖より先に、死なないで。


それは随分と、無茶苦茶な命令だと思った。
だけど、不思議とさくらは、護らなければと思ったんだ。
さくらを受け入れてくれたあの人を。
何処にも行き場がなかったさくらを、何の躊躇いもなく受け止めてくれたあの人を。
生きる意味をくれたあの人を。
生命を授けてくれたあの人を。


「死ねないんですよ、私」


譜久村さんを、護らなきゃって、思ったんだ。

40 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:41:03.10 0
「死ねない事になっているから…」

その言葉は、心を失った彼らに届くはずもなかった。
だが、これは酔狂でも、強がりでも、見栄でもない。
さくらが、小田さくらであるが故の、誓いだ。
此処で生命を捨てることはできない。
それがさくらの、ただひとつの、盟約だから。


風切り音が聞こえる。
男たちに差し出すのは、首ではない。
それでも左手一本くらいなら構わないと、未練を残しながら覚悟を決めた。

「っ―――?!」

走り出そうとした瞬間、だった。
目の前に優しい風が吹き抜けたかと思うと、金属が噛み合う音がする。
何が起きたのか、視覚を失った世界では判別できない。
数秒経っても、さくらの首は刈られていない。
血も出ていない。痛みもない。さくらはしっかりと生きている。

一体何が―――?

さくらは激しく咳き込みながら、全神経を研ぎ澄ませる。

41 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:41:29.93 0
そう思ったとき、微かに“音”がした。
さくらの前に立つ、靴音。
さくらの前に立つ、髪が揺れる音。
さくらの前に立つ、存在の音。


「………お待たせしました、小田さん」


その声に聞き覚えがあった。
高い潜在能力を有しながら、自分自身にロックをかけてしまい、最大限に引き出すことができない。
人一倍努力を重ねているのに、なぜかそれが別の方向に走ってしまう。
ついつい甘やかしたくなる、後輩―――野中美希の“音”だと、さくらはようやく、把握した。

「ちぇる……?」

恐る恐る訊ねてくるその声は、さくらがまだ視力を回復できていないことを示していた。
美希はさくらの頬の傷に触れながら、「いいえ」と返した。

「私はちぇるではありません」

予想外の言葉に、さくらは「え?」と返してしまう。何を言っているのか理解できなかった。

42 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:41:52.65 0
「通りすがりのheroです」
「ちぇるだよね、その発音」

が、すぐに、理解した。
半ば被せるように言葉を発したさくらに、美希は少々、不服だった。

「No,No, 私はちぇるなんて知りません」
「いや、バレバレだから」
「あっれぇ〜?なんでわかっちゃうんですかね、おかしいなぁー?」

2回ほどのやり取りで、美希は諦めた。
すぐに認めてしまうあたり、彼女は可愛らしいと思う。

「………すみません、遅くなってしまって」

美希は笑顔を引っ込めると、男が振りかざすナイフを避け、軽く頸椎を刺激し、動きを封じる。
さくらはその目に映すことは叶わないが、風の流れから、無駄のない動きだろうと把握した。
先ほどまでのひょうきんさが嘘のようだ。
それだけ彼女もまた、成長しているのだと気づく。

「おかしいですね、まだ洗脳が解けないようです」
「…術者が傍にいるんじゃ」
「いえ、先ほど既に粛清しました。見つけ出すのにちょっと苦労しましたが」

43 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:42:16.38 0
え、もう?とさくらは聞き返したくなった。
親玉を探そうと躍起になっていたのも束の間、美希は既にそれを粛清したという。
此処で彼女が嘘を吐く理由などない。
いつの間にか、彼女はそこまで、強くなったのだろうか。

「術者を見つけるのが遅くなってしまって…到着まで遅くなってすみません」

方向音痴で迷っていたわけじゃないんです。と、別に怒ってもいないのに、彼女は言う。
襲ってくる男の懐に飛び込み、的確に関節技を決め、動きを封じる。
「殺さない」という誓いを守りながら、同じように、さくらを全身で、護ろうとする。

「タイムラグがあるのかもしれませんね」
「ラグ?」
「はい。今20人近くの一般人が巻き込まれています。
 ただ、既に洗脳が解けて気絶している人もいますから…術者の洗脳が強すぎるんでしょう。いずれは精神も戻ると思います」

巻き込まれるなんて、まるでキミのような人たちだね、とからかおうとする余裕は、さくらにはなかった。
覚悟していたとはいえ、光を失ったことと、呼吸を奪われたことが、冷静な判断力を削っている。
なぜだろう。
死ねない誓いを立て、この窮地も乗り越えると決めていたのに。
なぜだろう。
うまくロジックが組み立てられない。

44 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2016/10/30(日) 22:42:54.71 0
「とにかく、此処を離れましょう。無駄に闘って体力を削ることはありません」

そうして美希は、さくらの手を取って歩き出そうとした。
が、そこで感じた圧倒的な闇に、脚を止める。
「タイムラグ」というひとつの仮説が外れたことに舌打ちしたくなる。
どうやら詰めが、甘かったようだ。

「リゾナンターって、バカの集まりなのかしら?」

目の前に現れた新たな術者は、美希とさくらに向かって、妖しく微笑んだ。

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