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【小説】リゾナントブルーのMVからストーリーを想像するスレ 第147話 [無断転載禁止]©2ch.net

1 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2017/04/22(土) 22:03:58.82 0
それならば、はっきりと云おう。


「ホンマは小田さん、譜久村さんを憎んでたんですよね?」


よう聞けや、おっさん。
これが、小田さんの“真実”や。


第146話 『さくらは死ねない(仮)』より


前回のお話はこちら
【小説】リゾナントブルーのMVからストーリーを想像するスレ 第146話
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87 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2017/04/23(日) 22:19:46.33 0
「これ以上!小田さんを!傷つけさせません!」

先ほど春水が美希に咆えたように、美希もまた、咆えた。
鼓舞するように、涙を堪えるように。
何が真実かは分からないけれど、自分にできる最善を尽くすために。
これ以上、さくらを穢させはしない。
奪われたさくらの過去を、その手に、取り戻したい。

「くそガキが……!」

男が初めてといえるほど、感情を表に出した。
思えば最初から、彼はこうして興奮する姿を見せなかった。
研究対象として興味がないと、最初から眼中になかったせいだろう。
自分の中でプログラミングし、予想通りに動くことを期待していたのに、今、予想外のエラーが生まれている。
そのエラーの一端は、春水だ。


―――「負けへんで。絶対に」


ほんの数日前だ。
自主練をしようと地下鍛錬場に足を運んだ時、彼女はそこから出てくるところだった。
お疲れ。と声を掛ける前に、彼女はそう宣言した。

その意味を、はっきりとつかめはしなかった。
決して敵意がある訳はなかった。
だけど、冗談ではなさそうだった。

88 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2017/04/23(日) 22:21:44.07 0
彼女から伝わる熱、白き脚に纏わせる炎は、なぜか低温に感じられる。
春水がもつ意志は、静かに燃える、青の炎だ。

素直に、「私も負けないよ」とは言えなかった。
その切り返しができるほど、頭の回転は速くはない。
だけど、気持ちは絶対に、負けない。
春水が勝負に出るのなら、私だって、負ける訳にはいかない。

今回だってそうだ。
エラーを仕掛けたのが春水なら、私だって、バグを巻き起こすしかない。

科学者は舌打ちし、左手首にしていた時計をいったん外すと、手の甲に巻き付けた。
「ナックルダスター」、通称メリケンサックの代わりにでもするつもりだろうか。
そう思ったのも束の間、男は腕時計のケースを割り、即座にこぶしを振り下ろしてきた。
ガラスの破片が飛び散る。
メリケンサックよりもたちが悪い。

美希は腰を落とし、鋭く左足を突き出した。
足元を狙われ、男はひょいと飛んで避ける。
構わずに、二撃目、三撃目と足技を繰り出した。


―――「低く。もっと低く」


なかなか当たらない攻撃に痺れを切らしそうになる。
こんな時にもうちょっと足が長ければと思う。
はーちんの脚が羨ましい。
長いし、細いし、白いし。

89 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2017/04/23(日) 22:22:53.69 0
「ないものねだり」とはよく言ったものだ。
たぶん、アメリカにそんな言葉はない。
日本人の、静かな闘志にも似た嫉妬心に裏打ちされる言葉を、美希はリゾナンターに加入してから知った。


―――「どんな城でも、土台を崩せば天守閣は落ちるからね?」


今、まさに自分が感じているのはそれだ。
さくらと春水が共有していた“秘密”。
自分が知ることのなかった、2人だけのそれに、奥歯を噛みしめる。
それでも「迷ったときには下から攻める」という、さくらが教えてくれた戦術の基本を忠実に守る。


―――「人間にはいくつか急所があるでしょ?」


肉体硬化や人体改造系の能力でない限り、皮膚の柔らかさ、神経の通り方は自分と同じはず。
ならば、と、美希は「そこ」に狙いを澄ませた。
男もその動きから、何処に攻撃しかけるつもりかを察した。
大きく後退しようとするが、いつの間にか壁に追い込まれていることに気付き、一瞬、判断が遅れた。
美希の左足が、男の脛―――弁慶の泣きどころと呼ばれる急所を的確に捉えた。
男の動きが止まる。


―――「好機は何度もやってこないよ。アメリカにもそんな諺あるでしょ?だから、その一瞬に全部を懸けるの」

90 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2017/04/23(日) 22:24:02.03 0
頭の中で繰り返す。
小さい頃に聞いたことがある、ギリシャ神話の言葉。


―――「Seize the fortune by the forelock.」


「幸運の女神には前髪しかない」―――。
その好機をもう、逃さない。
美希は右足を蹴り上げる。つま先で顎を砕き、続けざまに踵から振り下ろす。

「っぐ!」

連撃に男が顔を歪ませる。
美希は連続で正拳を腹部に突き立てる。口から泡とともに血を吐いた。
もう一発、と左手を振り上げると、男が目を見開く。
振り下ろした拳を掴み上げ、頭突きをしてくる。
明滅する。まずいと思う。
男は渾身の力で美希を押し倒す。そのまま右手で頭蓋を挟まれた。

「お前には最低の過去を与えてやる。
 生まれると同時に捨てられ、臓器提供のために売り飛ばされ、最後は空っぽになって犬にでも犯されろ!!」

途端、頭が爆発しそうな感覚に陥る。

91 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止:2017/04/23(日) 22:24:58.29 0
記憶とは、突き詰めれば情報だ。
人間の脳は、その情報を整理する。
情報の一つ一つを精査し、自分に必要なもの、不要なものを判別し、不要なものは引き出しにしまい込む。
それが「忘れる」という行為だ。

その引き出しを、何かが強引に開けていく。
黒い何かが波のように押し寄せ、引き出しへと入り込み、上塗りをしていく。

ああ。これが。
これが、上書きか。と悟る。

闇の中に放り出される。
自分の情報が錯綜し、混線し、どれが何か判別できない。

リゾナンターに加入したとき。自転車に乗れたとき。制服を着たとき。お風呂に入ったとき。
卒業式で泣いたとき。両親が消えたとき。アメリカに留学したとき。テストで100点を取ったとき。遊園地に行ったとき。

記憶。情報。波。
光と闇が明滅し、空に太陽と月が昇る。
浮かんでは消える、さまざまな色。
黒。白。赤。青。緑。紺。

そして、紫。


―――「ちぇる」


そのとき、聞こえた気がした。


―――「負けちゃだめだよ。がんばって」


忘れてはいけない人の、声が。

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